鹿住貴之
特定非営利活動法人森づくりフォーラム
理事認定特定非営利活動法人JUON(樹恩) NETWORK 理事・事務局長

JUON NETWORK(樹恩ネットワーク)の紹介

都市と農山漁村─いわゆる過疎地域─の人々をネットワークで結ぶことにより環境の保全改良、地方文化の発掘と普及、過疎過密の問題の解決に取り組み、自立・協助の志で新しい価値観と生活様式を創造していくことを目的として、1998年4に大学生協の呼びかけにより設立された特定非営利活動法人(NPO法人)です。2011年6月には認定NPO法人となりました。会員は個人602名、団体96団体、予算規模2500万円、理事20名、監事3名、常勤職員4名の団体です。

JUON NETWORKは、大学生協が過疎地域に住む人々と出会うことによって生まれた組織です。一つは「廃校」を学生のセミナーハウスとして再生したこと通してであり、もう一つは95年の阪神淡路大震災における支援活動を通してです。阪神淡路大震災の際に、大学生協では様々な支援やボランティア活動を行ったのですが、その一つに、学生が住んでいた寮やアパートがつぶれてしまったことを受けた、仮設学生寮の建設がありました。兵庫県内5ヶ所に建てたのですが、芦屋のテニスコートに建設した58棟の仮設学生寮は、徳島県三好郡(現三好市他)の森林組合等林業関係者から提供していただいた間伐材製のミニハウスだったのです。この、大学生協と森林組合という異なる組織の出会いが、新たなネットワークであるJUON NETWORKを生み出しました。

現在行っている森林保全活動は、「国産間伐材製『樹恩割り箸』」の普及推進、「森づくり体験プログラム『森林の楽校』」(12年度は秋田、福島、群馬2、埼玉、東京、新潟、富山、岐阜、兵庫、徳島、香川、高知、長崎の14ヶ所)、「森林ボランティア青年リーダー養成講座」(東京・関西)、その卒業生である「東京・関西ヤングジュオン」の活動、「企業の森づくり支援」、「生協の森づくり支援」等です。

「樹恩割り箸」は、食堂を経営する大学生協と関係をもつ団体ならではの特徴的な取り組みで、日本の森林を守るために国産材・間伐材を使うこと、障害者の仕事づくりに貢献すること、食堂の排水を減らすことを目的としています。

また、「森林の楽校(もりのがっこう)」は、森と私たちのつながりを取り戻すための企画で、森づくり体験・自然散策・自然体験や地元の方々との交流を通じて、森林・環境問題・農山村文化について学ぶ、森林ボランティア活動の入門編です。内容は各地域によって異なりますが、基本的には森林ボランティア活動「体験」、森林・林業の「学習」、地元住民との「交流」が三本柱となっています。実施に当たっては、どの地域でも必ず現地の団体(自治体、大学、NPO等)と協力しています。

森づくりフォーラムの紹介

1950年代の戦後の国土緑化運動、60〜70年代の森林ボランティアの先駆けの活動(富山県の「草刈り十字軍」等)、80年代の各地での森林ボランティア団体の誕生(東京では、86年の大雪害がきっかけ)等、市民参加の森づくり、森林ボランティア・NPOの活動が広がる中で、ネットワーク組織が必要となってきました。97年の林野庁の調査では、森づくり活動団体の数は277でしたが、06年には1,863、10年には2,677団体と約10倍になっています。このような中で生まれたのが、森づくりフォーラムです。

東京で93年に森づくりフォーラム実行委員会が結成され、94年シンポジウム「多様な人々による多様な森づくり」を開催。95年に関東圏のネットワーク組織として森づくりフォーラムが設立されました。なお、96年には第1回「森林と市民を結ぶ全国の集い」が開催されています。00年にNPO法人化し、全国ネットワーク組織となりました。